News医院コラム
子どもが食べ物をなかなか飲み込まない…お口の発達と関係ある?

こんにちは!ウィズ歯科クリニック歯科医師の根本です。
「食事に時間がかかる」「いつまでも口の中に食べ物をためている」「なかなか飲み込めない」といった様子が続くと、保護者の方は心配になるものです。こうした食べ方には性格や食欲だけでなく、舌や唇、顎を使う力など、お口の発達が関係していることがあります。食べる機能の発達と、受診の目安をわかりやすく解説します。
食べ物を飲み込むまでに、お口では何が起きている?

◎食べる動作は「噛む」だけではありません
食べ物を口に入れてから飲み込むまでには、唇で取り込み、舌で食べ物を移動させ、奥歯で噛み、唾液と混ぜ、飲み込みやすい形にまとめて喉へ送るという一連の動作が必要です。これらは成長とともに少しずつ身につくもので、最初から大人と同じようにできるわけではありません。
特に離乳期から幼児期は、食べ物の硬さや大きさに合わせて舌や顎を動かす経験を重ねる大切な時期です。年齢に合わない硬さの食べ物や、一口量が多すぎる食事では、うまく処理できず、口の中に長く残ってしまうことがあります。
◎「子どもが口にためる」背景
お子さまが食べ物を口にためる場合、噛む回数が少ない、舌で食べ物を奥へ運びにくい、唇を閉じる力が弱いなど、さまざまな理由が考えられます。また、食事中の姿勢が安定していないと、顎や舌を動かしにくくなることもあります。
一方で好きではない食べ物を飲み込みたくない、テレビや会話に気を取られている、一口量が多いなど、口の機能以外の要因もあります。「口にためる=病気」と考えるのではなく、食べ方全体を見て判断することが大切です。
「子どもが噛まない」「食べるのが遅い」ときに考えたいこと

◎柔らかい物ばかりでは噛む経験が不足しやすい
子どもが噛まないように見えるときは、食材の硬さや切り方が発達段階に合っているかを確認しましょう。柔らかい物ばかりを長く続けると、奥歯で噛みつぶす経験が少なくなる場合があります。反対に、まだ十分に噛めない時期に硬い物を与えると、丸飲みしたり、口にためたりする原因になることがあります。
大切なのは「硬い物を食べさせれば顎が育つ」と単純に考えることではなく、現在のお口の動きに合った食形態から少しずつ経験を広げることです。
◎噛み合わせや歯並びが影響することも
前歯や奥歯の噛み合わせに大きなずれがあると、食べ物を噛み切ったり、すりつぶしたりしにくい場合があります。出っ歯や受け口、歯のガタガタなどがあるからといって必ず食べにくくなるわけではありませんが、お口の機能との関係を確認した方がよいケースもあります。
また、鼻づまりなどで口呼吸になっているお子さまは、食事中に口を閉じ続けにくく、噛むことと呼吸の切り替えが難しくなることがあります。食べこぼしや口を開けたまま噛む様子が目立つ場合は、歯科だけでなく必要に応じて耳鼻咽喉科などとの連携も検討します。
◎食事の速さには個人差があります
「子どもが食べるのが遅い」という悩みは珍しくありません。よく噛んでいるため時間がかかる場合もあり、遅いことだけで問題とはいえません。ただし、毎回極端に長時間かかる、飲み込むまでに何度も促す必要がある、食事量が十分に取れず成長にも影響しているといった場合は、食べる機能を確認する意味があります。
反対に、ほとんど噛まずに短時間で飲み込む食べ方にも注意が必要です。速さではなく、唇・舌・顎が食べ物に合わせて適切に動いているかを見ることがポイントです。
◎家庭で確認したい食べ方のポイント
食事の様子を見るときは、何分で食べ終わるかだけでなく、どのように食べているかを観察しましょう。前歯で食べ物をかじり取れているか、左右の奥歯を使っているか、口を閉じて噛めているか、舌で食べ物をまとめられているかなどが参考になります。飲み物で流し込むことが多い、毎回同じ側だけで噛む、食べ物が口からこぼれやすいといった様子も、お口の使い方を知る手がかりになります。
また食事中に足がぶらぶらしていると身体が安定せず、顎や舌を動かしにくいことがあります。椅子や足台を使い、足裏が床や台につく姿勢を作ることも大切です。背中を大きく反らせたり、寝そべるような姿勢になったりしていないかも確認しましょう。
一口量にも注意が必要です。たくさん口に入れれば早く食べられるわけではなく、かえって噛みにくく、飲み込みにくくなることがあります。小さめの一口から始め、口の中が空になってから次の一口へ進むようにすると、食べ物を処理する流れを身につけやすくなります。水分で流し込ませるのではなく、お子さま自身が噛んでまとめて飲み込める量を探していきましょう。
さらに、食卓では急かしすぎないことも重要です。周囲から「早く食べて」「飲み込んで」と繰り返し言われると、食事そのものが負担になることがあります。できている動きを認めながら、食事時間や環境を整えることが基本です。食べにくそうな食材や時間帯、むせた回数などを簡単に記録しておくと、歯科医院へ相談するときにも普段の様子を伝えやすくなります。普段の動画も役立ちます。
「子どもが飲み込めない」と感じたら歯科で相談できる?

◎口腔機能発達不全症について
口腔機能発達不全症とは、明らかな病気や障害がないお子さまでも、食べる、飲み込む、話す、呼吸するといったお口の機能が年齢に応じて十分に発達していない状態をいいます。歯の本数だけを見るのではなく、唇を閉じられるか、舌を適切に動かせるか、噛んで飲み込めるか、口呼吸がないかなどを総合的に確認します。
「子どもが飲み込めない」「いつも口にためる」「噛まずに丸飲みする」といった状態が続く場合には、このような観点から評価することがあります。
◎歯科では何を確認する?
診察では、むし歯や歯茎の状態、歯並び、噛み合わせを確認するとともに、唇や舌の動き、食事中の姿勢、一口量、食べ物の硬さなどについて聞き取ります。必要に応じて、実際の食べ方や飲み込み方を確認することもあります。
対応はお子さまの状態によって異なります。食材の大きさや硬さを調整する、足が床や台につく姿勢を整える、一口量を見直す、唇や舌を使う練習を行うなど、負担の少ない方法から進めます。無理に噛む回数を増やしたり、飲み込むよう急かしたりすることが適切とは限りません。
◎小児矯正が必要になる場合
お口の機能と歯並びには相互の関係があります。舌の位置や口呼吸などが噛み合わせに影響することがある一方、歯並びや顎の形によって食べにくさが生じることもあります。そのため、診察の結果によっては小児矯正を選択肢として検討する場合があります。
ただし、食べるのが遅い、飲み込みにくいという理由だけで小児矯正を行うわけではありません。まずは原因を見極め、食べる機能への支援が必要なのか、歯並びや顎の成長への対応が必要なのかを分けて考えることが重要です。
◎早めに相談したいサイン
食事中に頻繁にむせる、咳き込む、飲み込んだ後に声が変わる、体重が増えにくい、食事を強く嫌がるといった症状がある場合は、歯科だけで判断せず、小児科などへの相談も必要です。特に呼吸が苦しそうになる、顔色が変わるなどの症状がある場合は、速やかに医療機関を受診してください。
食べる機能は成長とともに変化します。気になる癖を早い段階で確認することで、そのお子さまに合った食べ方や練習方法を見つけやすくなります。食べ方には個人差があるため、周囲と比べすぎず、日々その子なりの発達の変化を見守ることも大切です。
まとめ
お子さまが食べ物を飲み込まない、口にためる、よく噛まない、食べるのに時間がかかるといった様子には舌や唇、顎の使い方など、お口の発達が関係していることがあります。一方で、食材の硬さや大きさ、食事中の姿勢、食欲などが影響している場合もあります。
ウィズ歯科クリニックでは、口腔機能発達不全症の視点も含め、お子さまの食べる・噛む・飲み込むといったお口の機能や発達を確認しています。気になる状態が続く場合はお気軽にご相談ください。必要に応じて他科とも連携しながら、お子さまの健やかな成長をサポートしていきます。
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